遙かなる空へ

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(アニメコラム) 転天 魔法と涙が教える、憧れのまぶしさと悲しさ

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転生王女と天才令嬢の魔法革命、所謂転生物のライトノベル原作かつ、百合寄りのアニメですが、作画の質は勿論、巧みな絵の構図や演出、なりよりも台詞回しが非常に熱く今期気に入ってる作品の一つ。

 

その本作で印象深い回の一つ 3話「憧憬と追憶の虹霓魔剣」は、アニスがユフィ専用に製作した、虹霓魔剣(アルカンシェル)を交え二人の内面の掘り下げ、近いけど遠い互いの距離感を描いており、そこではユフィの笑顔と涙の描写が印象的でした。

 

地位と才能への過度のプレッシャー、娘への愛情は有るが良くも悪くも不器用な

グランツの影響で卑屈な面が強くアルガルドに婚約を破棄された事もそれに拍車をかけてしまう、アニスに救われ彼女の元で共同生活を送る事になってもそれは変わらず、明らかにうなされていたのに関わらず,眠れましたかとのイリヤの言葉にはいと答える冒頭のように自分を押し殺した言動が目立ちました。

 

そして後半アニスに連れ出されたユフィは先のアルカンシェルで、天才令嬢の二つ名に恥じない才能と笑顔を見せた、箒で空を飛んだ(飛ばされたと言った方が正しいかも笑)時もそうだったけど、優雅なのは勿論、生き生きとした表情で魔法を振るう姿は、魔法のエフェクトの良さも噛み合って、アニスと出会いが本来彼女が持っている笑顔を引き出した喜びと共に今迄の様々な重圧や罪悪感がそんな大切な笑顔を封じていた重い事実を痛感しました。

 

喜びと切なさの感情は他ならぬユフィ本人にも、王族以前に人として破天荒な一方、裏表の明るさ、自分を認めてくれるアニス、受容れてくれた事もだけど、魔剣を試す際の表情は心の何処に肩書きや才能に囚われず,自由気ままに振舞いたいと思ってるよう、それでも外の世界の存在やそれ以上に,今迄自分が声無き悲鳴を上げつつ歩んできた道を投げ出せる勇気が出せるか、その意思と努力は本当に結びつくだろうか・・・。

 

心の片隅に確かに有る、適えたいのに叶わないから憧れる自分の鏡の様なアニス(最も彼女も魔法を愛しながら使えない、だからこそユフィに心惹かれると言う成れない故の憧れを持っているのですが・・・)、笑顔以上に誰にも見せれない尊敬と諦めの篭った涙を流しながら自分の膝元で眠りに付いた彼女を見下ろす。

 

誰もが抱く夢や憧れの尊さと虚しさを魔法と涙を通して映す、そんな感情が込み上げる1話でした。